◆◆ "生"の酒 ◆◆



いわゆる生"の文字が入った酒は数種類あります。『生酒』『生貯蔵酒』『生詰』といった所でしょうか。
日本酒は醸造酒の中でもアルコール度数が高く、(醸造中で18〜20%)腐敗しにくいので 防腐剤添加などが行われないのですが、アルコールが大好きな「火落ち菌」という乳酸菌の一種によって 変質してしまう事があります。
火落ちした酒は白濁し、「ツワリ香」といわれる臭いを放つようになります。 こうなってしまうともう酒として製品になりません。
そこで、火落ちを予防し、残っている酵素を不活性化させ、 わずかに生き残った酵母も死滅させる為に熱処理が行われる訳です。
熱処理といっても酒をぐらぐらと煮立たせる訳ではなく、65℃前後の低温で加熱殺菌することをいいます。 これはパスツールが開発したパスツーリゼーションと同じやり方ですが、日本ではパスツールが発明する 約300年も前から行われていました。


一般的な火入れ

一般的な火入れ方

一般的な日本酒は製品化までに二回の火入れが行われます。
絞られた酒は、残存する炭酸ガスを抜き 酒質を落ち着かせる為、タンクにしばらく貯蔵されます。その時に一回目の火入れが行われます。 その後、瓶詰め時に二回目の火入れが行われます。



  ・生貯蔵酒

絞った後の酒を火入れを行わずにタンクに貯蔵し、瓶詰め時に火入れを行った物。 生のまま貯蔵するので「生貯蔵酒」

  ・生詰

絞った後、火入れをしてタンクに貯蔵。瓶詰め時には火入れは行われない。 生(火入れをせず)瓶に詰めるので「生詰」

  ・生酒

絞った後、一度も火入れを行わずに製品化される酒。「本生酒」と呼ぶ場合もある。 冷蔵設備の整ったタンクに貯蔵され、流通・販売も低温度で行われる。



生貯蔵酒・生詰ともに一度は火入れが行われているので、厳密には「生」ではないのですが、 とある酒蔵の人の話では『貯蔵設備が十分でなかったり、流通ルート内での管理がずさんだったりする中で 「生」と表示できる商品を持ちたいメーカーの苦肉の策で誕生した商品』とのことです。

尚、ご家庭の酒でも管理が悪いと火落ちが発生します。高温・直射日光を避けるのは当然、 開詮後は酸化や雑菌が入る可能性もあるので早めに頂きましょう。




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